2016/05/07

[映画] 『金日成のパレード』/『北朝鮮・素顔の人々』 その3

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②北朝鮮・素顔の人々について

1部では、パレードやインタビューばかりで、
ソウルの外見的な部分だけが出てきたけれど、

この2部では、ソウル以外の人々が出てくる。
ぜんぶ隠しカメラで、それこど命がけで撮っているのだ。
だれが? 北朝鮮の人が撮影してくれている。

そして、それを日本に脱北して住んでいる方々が、ビデオを見ながら話をしてくれる形式。

貴重な資料でしたわ。
なんか、報道で見ていたとはいえ、
脱北者の生の解説が入るから、リアリティありあり。

衝撃的な部分はあるんだけど、全体的にとってもいいビデオなので、
ぜひ見てほしい。


まず、闇市場が出てくる。
この闇市場は町中にあるのと比べて、規模がでかい!

連日、5000人近くの人が押し寄せて売買をするのだという。

物価は、市価の10倍だそうだ。

わぁ、すごい人。トイレなさそうだな。どうしてるんだろう?
垂れ流しなのかしら?とまた不謹慎なことばかり考えてるあたし。

ここにも官憲がきて、賄賂をくれる人は見逃してあげたりするらしい。
役人も飢えてるから仕方ないかもね。




一番泣けたのは、子供たち。
コッチェビというらしい。



みんなでゴミ山の中から集めてきた残飯を食べてる。

なんか、とってもかわいそうなんだけど、
みんなでちゃーんと分け合っているんだよね。
誰一人、だれかのを奪ったりしようとしない。
美しい!じーんときました。
豊かな資本主義社会でも、人のものを奪う人って多いでしょ?
でも、この子供たちはちがうんだよね。

そして、中には、歌を歌って生活費を稼ごうとする子供たちもいる。



この子供は革命の歌を歌ってくれた。
びっくりするほど、とても上手なのだけど、
「将軍様の懐に抱かれること、それがわたしの生きがいだ」
と小さな子が歌うのに、唖然とした後、泣けたわ。

将軍様はぜんぜんこの子をしあわせになんかしてくれないのに、
この子はせっせとそんな歌を歌っている。
もう涙が棒のように落ちましたわわたし。

仲間たちは右に数人座って、伴奏を務めたりしてくれてる。

彼は、次にお母さんの歌を歌うんだけど、
これがまた泣ける。

ばばーは涙腺崩壊!


そのうち、足の悪い仲間が帰ってきて、

「歌うたったら、食べ物くれた。
みんなで食べよう」
って、また分け合いっこがはじまる

ぐわー。また泣ける。
やっぱりちゃんと助け合いするんだね。

わたし、ほんとうに泣けちゃった。
えらいよ北朝鮮のこの子たち。


最後に気が付いたんだけど、歌うたってくれたのに、
このビデオ撮ってる人たちは、ぜんぜんお駄賃あげてなかったわ・・・

見逃さないわよあたし。


このビデオ、2000年中盤に撮影されたらしいから、子供たちは10ぐらい大きくなってるんだろうね。
ちゃんと食って生きていますように。

ほんと祈ることしかできないなあ。悲しいなあ。


あと、このパートでは、
公開処刑の部分もでてきます。

あまりにも残酷なので、自分で見てください。
この公開処刑、家族・親戚は一番前に座らされて見せられるんだそうです。
なんて残酷なんでしょう。

ああ、いや。

人間は、鬼になれる。
状況さえ変われば、なんにでもなれるんだ。

北朝鮮という「向う」の問題じゃなく、
人類共通の問題がここにあると思う。


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監督:アンジェイ・フィデック、稲川和男、朴炳陽
出演者:佐藤慶
収録時間:100分
レンタル開始日:2016-04-20


Story
謎に包まれた北朝鮮の実態を撮影したドキュメンタリーのパック。建国40周年パーティーに招かれたスタッフが金日成による独裁国家の実態を記録した『金日成のパレード』と、2000年代中頃の市民の姿を記録した『北朝鮮・素顔の人々』の2本を収録。 (詳細はこちら



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