2016/04/30

[韓国映画] トガニ 幼き瞳の告発(2011)


監督:ファン・ドンヒョク
出演者:コン・ユ、 チョン・ユミ、 キム・ヒョンス、 チョン・インソ、 ペク・スンファン
収録時間:125分
レンタル開始日:2013-03-02
Story
韓国の聴覚障害者学校で起こった実話を元にしたコン・ジヨンの小説を、コン・ユ主演で映画化したサスペンス。赴任したばかりの教師、カン・イノが感じた異様な雰囲気に裏付けられたように、そこでは教師たちによる性的虐待が日常化していた。R18+ (詳細はこちら




事実をたんたんと描いたドキュメント作品なら、 それほど胸を打たれなかったかもしれない。

でも、このトガニはちがった。 

実話に基づきながら、監督やスタッフや映画を支える人たちの熱い思いが伝わってくる、「なにか」がある作品。 

ずどんと、わたしは大きく突き動かされたわ。

すごい作品だった。
怖いというか、逃げたくなるというか。

現に、この作品が発表されて以後、韓国の障害者への性的虐待にかんする法律が改定され、世論は大きく動いた


裁判中にはまったく世論が巻き起こらなかったのにだ。

映画の力はすごい。 


映画では、

幼き障害者にたいする健常者の大人たちのひどい暴行がつづく。 

教育者という仮面をかぶった犯罪者。


正視できない残虐非道な暴力強姦の繰り返し
しかも時は2000年、現代

戦争時代の話じゃない。「今」なのだ。 

ひどすぎて言葉がでなかった。 

幼い女の子(男子も)を何年も何十回も強姦する極悪な神経をもった大人どもは、 韓国にも日本にも、世界中にもたくさんたくさんいて、閉鎖された教育現場では 、それが簡単に起こってしまう。 

トガニ(坩堝)というタイトルはこの作品にはまりすぎて、怖いと思うほど。 
本来の意味は、高温処理をおこなう耐熱式の容器だという。 

では、障害者学校という逃げ場のない坩堝にはまった子供たちを 救うのは、いった誰なんだろう・・・ 

わたしたち大人しかいない。


誰だってわかる。でも、大人はだれも助けない。 

それどころか共犯になって、目の前で起こる悲劇を日常にとらえて善悪を感じようとしない。

すべては保身のためお互いの利益を守るため

そう。それが一番怖い。 


この映画では、コン・ユ演じる新人教師が声をあげる。 

こんなひどいことは許されてはいけないんだと、一人が保身を捨て 声を上げる。すると、それが時間がかかっても世の中をすこしずつ 動かしていく。

わたしは彼のような行動を「希望」と呼びたい。 

日本でも、宗教社会や教育現場での強姦・いじめなど同じ問題がある。

だれかが声を出していかない限りは、なにも変わりはしない。 

映画の中、裁判自体は、理不尽な敗北に終わってはいるが、勝ち負けは問題ではない。

 一度まかれた種はすこしずつ育ち、社会全体を突き動かしていく。
そこがこの映画のテーマだ。
 

社会は一歩一歩であるが良くなろうとする。

らせん階段上に良くなろうとする。
そして、それはわたしたち大人の良心が動かしていくべきものなのだと思う。 

この映画は、超A級のペシミストな私にさえ、 この世の希望を与えてくれる。 
この映画にかけた韓国の人々の良識と情熱に感動する。




















ファン・ドンヒョク監督
コン・ユ
チョン・ユミ
キム・ヒョンス
チョン・インソ
ペク・スンファン
チャン・グワン

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